一枚の板を世に送り出すまでには相当の歳月を要する。その過程において、私たちは幾多の貴重な体験を得て、3つの確かな想いを、この一枚に込めることとなる。その想いとは?
原木丸太から製材された素材は何年も風雨にさらされ、伸び・縮みを繰り返すことで、徐々に内部から水分が飛んでいき、乾燥していく。 素材の多くは1〜2年の間に建築業者向けに販売されるが、他の建築・家具部材は3年以上、時には10年以上の年月を、野天の乾燥場で過ごす。 その間、皮むき作業、割れ止め用ボンド塗り、桟の積み直しなどの手間を加え、根気よく面倒を見ていく。 それだけに板が割れたり、腐ったりすると、心底がっかり、意気消沈してしまうものだ。 だからこそ、材の状態をより良く保つために、養生や手入れの工夫を重ねていくこととなる。 永年、材木という素材と付き合っていると、手間がかかればかかるほど情が移ってくるのも確かだ。例えば、お客様の都合で「材料の長さを短く、幅を狭くして欲しい」との要望があったら、恐らく全員、心の中で「切らないでくれ!」と叫ぶものと思う。そもそも希少価値で、「もったいない」のはもちろんのこと、長い間「手間をかけ」、「愛情を込め」、面倒を見てきたことを思うと、とても切り刻むことは出来ないというのが皆の共通した想いだ。 また、「素材を活かす」という点においても、出来る限り、個性ある特徴をそのまま活かすように使って欲しい。と願うのが私たちの心境なのだ。 当社では、この「素材づくり」の工程があるがゆえに、その後の建材や家具の製造・加工段階でも変わらず、「素材を活かす」ため、「手間を惜しまず」、入念に「愛情の込もった」仕事がなされていくのだと信じている。 岡崎製材株式会社 |