国産針葉樹すぎスギはスギ属一種で日本特産という説が一般的です。俗に言う米杉は杉と似ていますがネズコ属に属していて杉ではありません。 心材の色は淡い紅色から暗い赤褐色まで幅広く、柱、床柱、落掛、長押、天井板、竿縁、たるき、造作材など、 用途はきわめて多種多様です。 茶室や数寄屋造りで床柱や化粧だるきに使われる磨き丸太や絞り丸太は、京都北山地方と奈良吉野地方、他で生産されています。 屋久杉薩摩杉ともよばれ、鹿児島県屋久島の天然杉です。 屋久杉とは樹齢1000年以上のものをいい、 それ以下のものは小杉とよばれています。 年輪はきわめて緻密で樹脂分を多くふくみ、耐久性もあります。 鶉杢とよばれる独特の杢目は、天井板、など、非常に高く評価されています。腐れを利用した欄間なども好まれています。 1993年には世界遺産に登録されています。 ▲鶉杢(屋久杉天井板)※当社の在庫より 神代杉神代杉は数百年以上の年月を土中に埋没していたもので、渋い色柄を珍重して天井板、落掛などに使われています。 近年では数少なくなってきています 春日杉奈良県春日大社境内、春日山から産出される植栽樹です。心材は美しい赤色で、年輪は緻密、冬目が明瞭で、 笹杢とよばれる美しい杢目は最高級品として天井板や落掛などに用いられています。 ▲笹杢(春日杉天井板)※当社の在庫より 吉野杉奈良県吉野地方に古くから植林された民有林材で、量的には豊富で今後とも供給され続けられると思われます。 室町時代中期より大和三輪、春日山の杉を移植して林業が始められ、 左右に柾目が通ったものをいいます。 ほかに柱や造作材に使われ、磨き丸太類の生産量も多くあります。 また、余材を利用した割り箸の生産も盛んです。 北山杉の磨き丸太、絞り丸太に比べて小径丸太類の人工林材は、土壌がよく成長が早いため年輪が少しばかり粗く 北山材よりいくらか低く評価される場合がしばしばありますが、長尺桁丸太は豊富に生産されています。 秋田杉藩政時代からの植林材で、心材の色は鮮やかな淡黄色から淡紅色で、杢目も多様です。 近年ではさすがに大径木は少なくなってきています。天井板、柱、造作材、建具材として高く評価されています。 土佐杉魚梁瀬杉ともよばれ、高知県魚梁瀬地方の藩政時代からの植林材です。 心材は少し褐色がかった赤色で、樹脂分が多く、 迫力ある杢板は、天井板として高く評価されています。 御山杉伊勢神宮の境内林の杉で心材は黄紅色で、杢目は緻密で笹杢は、天井板として非常に高く評価されています。 霧島杉霧島杉は、九州霧島地方の杉で、心材は黄味がかった紅褐色で夏目が白く、杢目が緻密です。 天井板、床柱、とも高く評価されています。 ▲霧島杉天井板 ※当社の在庫より 市房杉宮崎、熊本県境にある市房神社の参道に数百年前に植栽されたもので、夏目が白く冬目が淡紅色で、 笹杢は高く評価されています。風倒木、古損木のみ市場に出ます。 日光杉栃木県日光東照宮や街道並木の杉で、杢目の細かい光沢のある杉です。 北山杉磨き丸太、絞り丸太、たる木などの丸太材として有名です。 ▲磨き丸太 ※当社の在庫より 日田杉大分県日田を中心とした地域より産します。 江戸時代より挿し木による造林が行われ、直材であるため、 造船用材として利用されていました。 秋田や吉野とともに日本三大林業地としても有名です。 天竜杉静岡県西北を中心とした地域より産出します。 その他弥生時代のムラであった登呂遺跡からも木製の出土品が多く見られますが、その多くがスギだそうです。 古い時代から加工のしやすい木材として広く利用され、時代を経るにしたがって木材を生産するための林業が 行われるようになりました。上記の産地では昔からまっすぐで節のないスギを造る努力がなされています。 杉は日本各地で産しますが、銘木級のものは量もきわめて限られています。 老樹大径材は全国的に少ない現状で、各地の社寺木などが、なんらかの理由で伐倒された場合には、 特定銘柄に劣らないものが産することがあります。 まつ松には赤松と黒松の二種類が知られています。 心材は赤黄色を帯びた淡い褐色をしています。 樹脂分が多いため脂壺があらわれることもよくあります。 青森県以南の全国に分布し、建築材などに、利用されます。 赤松皮付丸太は、茶室、数寄屋造りの床柱などに好んで用いられます。 脂松、肥松とよばれる、樹脂分の多い杢板は、黒松の大径木から得られ、 床の間の地板、棚板、床がまちにもつかわれています。 近年、脂松の得られる大径杢板が希少になってきたため、 米松、ラオス松などが代替されることもあります。 赤松には、南部松、白旗松、津島松、宇陀松、滑松、芹川松、日向松などが有名です。 黒松には、水戸松、道了松、沼津松、三河松、山陰松、などが有名ですが いずれも現在では銘木級の入手は困難になってきています。 からまつ心材は褐色で肌目はあらく、辺、心材の区別がはっきりしています。重厚な色調と美しい杢目をしています。 つがとが、ともよばれ栂と書きます。 主として四国、九州に多く高知材が有名です。 辺、心材の区別が不明瞭で、心材は淡い褐色、冬目がはっきりして夏目が白く見えます。 光沢があり、 仕上がったときに目がたちます。年輪のつんだ柾目は非常に美しく、 床柱、柱、床廻り、長押、鴨居、敷居、天井板、といろいろな用途につかわれます。 ひのき古くから宮殿や社寺建築に用いられ、高級建築材料として有名です。 心材の色調から淡い黄色から桃色のホンピと、 赤味の強いサクラヒとにわけられています。 夏目、冬目の差が小さいことから柔らかい感じで、狂いも少なく、美しく、 光沢があり耐久性も大きいため建築材としての用途は多種多様です。 木曽、吉野、日田、東濃、美作、尾鷲、紀州、大正、三河などが主な産地です。 木曽桧長野県木曽地方から産出され尾州桧ともよばれ、藩政時代には保護育成につとめ、木曽五木のひとつとして、 厳しく管理されていました。 現在でも宮殿や伊勢神宮などの用材として特別に保護されている大径木の林もあります。 心材は黄味を帯びた桃色で、香気に富み、日本の最高級材として有名です。 大径木はほとんど伐採されてきていて、 非常に貴重になっています。木曾桧とは樹齢150年生以上のものをいいます。 吉野桧奈良県吉野地方から産する桧のことです。 杉と同様に古くからよく手入れ、 管理されているため年輪の緻密な光沢のある無節の柱や造作材が、高い評価を受けています。 ひばヒノキ科の樹で特有のにおいと水に強い材として有名で、地域性をもつ一般建築材などにつかわれています。 ねずこヒノキ科ネズコ属の樹で富山県黒部地方のものが有名です。材質が杉に似ているので黒部杉ともよばれます。 心材は灰褐色から黄褐色でやや黒ずみ、しぶい色調や杢目が評価され、天井板、網代、欄間、腰板材などに用いられています。 さわら椹は、中部山岳地帯の木曽、飛騨地方が主な産地です。 心材はくすんだ黄味を帯びた褐色で水に強いことから、 社寺建築などの柿板(こけら)につかわれていました。薄い扮板(へぎいた)の網代天井は高く評価されています。 いちいおんこ、あららぎ ともよばれ、全国的に産しますが、北海道が主な産地です。 辺、心材の区別が明瞭で辺材は白色、心材は美しい紅褐色です。床柱に辺材の白と心材の紅との対比を生かして使われます。 その他、床框、落掛、幕板などにも巾広く利用されています。 こうやまき和歌山県高野山一帯に産する槙のことで、心材は淡い黄味を帯びた褐色で、枝跡を残し節を生かした出節丸太にも、 よく用いられます。 むろ榁は水にも強く、その樹肌の捲れて裂ける様子を生かして、白太の白と甘皮の茶褐色とのコントラストにより 床柱などに使われます。 ▲榁変木 ※当社の在庫より |